Codexの「上限に達しました」は、プランの問題より先に設定の問題であることが多い。 核心は2つ。キャッシュを壊さないことと、モデルを選ぶこと。 壊さない6箇条と使う裏技4つを先頭に、公式レートカードで裏取りした削減手段17項目を効果順に並べた。
AIは前回のことを覚えていない。毎ターン、システム指示 → ツール定義 → AGENTS.md → 会話の全履歴を 頭から丸ごと送り直している。サーバーは今回の送信を前回と頭から突き合わせ、 一致している間は計算を再利用して1/10で請求する。最初に食い違った場所から後ろは、全部通常料金。
普通に続ける限り変化は「末尾に足される」だけなので、ほぼ全体が1/10になる。 壊れるのは列の前のほうを触ったとき — 積み木の塔で、下の1個を差し替えると その上を全部積み直すのと同じ。6箇条は全部「塔の下を触るな」と言っている。
6箇条が守りなら、こちらは攻め。Codexのソースコード読解・公式issue・実装ツールの 検証から拾った、一歩踏み込んだ運用。出典の層が混ざる領域なので、各項目に 公式/外部検証のラベルを付けてある。
Codexは2026年4月から、メッセージ単位ではなくトークン単位のクレジット計算になった。 単価は入力・キャッシュ入力・出力の3種類に別々に付く。以下は公式レートカードの 100万トークンあたりのクレジット数。
この25倍差は、公式が公開している5時間あたりのローカルメッセージ数にそのまま出ている。
| プラン | Sol | Terra | Luna |
|---|---|---|---|
| Plus / Business | 10–100 | 25–200 | 250–2,000 |
| Pro 5x | 50–500 | 125–1,000 | 1,250–10,000 |
| Pro 20x | 200–2,000 | 500–4,000 | 5,000–40,000 |
幅が広いのは、1メッセージの重さがタスクで変わるから。公式は「GPT-5.6は1メッセージあたり平均5〜40クレジット」としている。
1〜10は元投稿の10選、11〜17は公式ドキュメントから拾って足した分。 番号は「先にやるほど効く」順に並んでいる。急ぐなら1・2・5だけでいい。
既定のPowerは gpt-5.6-sol のmedium推論で動く。ファイル名の一括変更も誤字修正も、放っておけば最上位モデルが処理している。スライダーを「Faster」に寄せても下がるのは推論レベルだけで、モデルはSolのまま。ここを開かない限り、以降の項目は空振りする。
# CLIは起動時に指定 codex -m gpt-5.6-luna # 既定を固定するなら config.toml model = "gpt-5.6-luna"
公式がLunaに挙げているのは「抽出、分類、変換、構造化された要約」。正解の形が自分の中で決まっている作業だけを渡す。
Lunaで3回やり直したら、削減率はSol1回とほぼ変わらない。条件を外して投げないこと。
公式がTerraを「日常業務の主力」「これまでGPT-5.5に任せていた仕事の自然な出発点」と位置づけている。一般的なコーディング、資料作成、ツールを使った調査はここ。
Solに残すのは失敗コストが高い仕事だけ。複雑なコード変更、深いリサーチ、原因不明のバグ調査、最終レビュー。迷ったらTerraから始めて、足りなければSolで上書きするほうが、最初からSolで回すより安い。
公式の指示は「必要な結果が出る範囲でいちばん低い推論レベルを使う」。効くのは出力トークンそのものが減る点。
公式も「ほとんどのタスクにMaxやUltraは必要ない」と書いている。GPT-5.5と5.6で推論レベルは対応していないので、前世代の感覚で高い設定を選ばないこと。
ここが一番の落とし穴。Fast modeは速度1.5倍と引き換えに、GPT-5.6と5.5でクレジットを標準の2.5倍消費する(5.4は2倍)。1.5倍速くなるために2.5倍払う設定なので、バックグラウンド処理に付けっぱなしにする理由がない。
/fast status
/fast off
/fast on
# config.toml側の既定も確認
service_tier = "fast"
[features]
fast_mode = true
モデルをLunaに落としてもFast modeがオンなら、Lunaの2.5倍を払っている。1〜3をやったら必ずセットで確認する。
公式の表現は「エージェントへの指示は正確に、ただし不要な文脈は取り除く」。1つのチャットに複数の目的を詰め込むと、以降の全メッセージがその履歴を運び続ける。長いチャットが遅くなったり同じ話を繰り返し始めたら、文脈が重くなったサイン。
公式は「関連するファイルだけを渡し、可能なら情報源や期間を絞る」。Web調査なら対象サイトと期間、リポジトリならディレクトリを名指しするかどうかで読む量が変わる。エージェント処理では入力側の支配要因になる。
画像生成を含むやり取りは、公式によると同種のやり取りの平均3〜5倍の速さで上限を消費する。
出力単価は入力の6倍。つまり返す量を削るのが一番効く。公式は「読み手、形式、長さを定義し、必須の作業と任意の改善を分ける」と案内している。
出力形式:箇条書き5行 1行あたり:40字以内 前置き・まとめ文:不要 必須:(必ずやること) 任意:(余力があればやること。無ければ「なし」)
必須と任意を分けておくと、モデルが「ついでの改善」で勝手にコードを書き足すのを防げる。
AGENTS.mdはCodexへの常設の指示書で、その全文が毎回のメッセージに乗る。公式は「大きなプロジェクトならリポジトリ内でネストさせることで注入する文脈量をコントロールできる」と案内している。Codexは1ディレクトリにつき1ファイルを、ルートから下へ連結して読む。
ディレクトリごとに必要なルールだけ置けば、触っている場所の分しか読み込まれない。一度作って放置しているAGENTS.mdほど太っている。
公式の説明は「MCPサーバーはひとつ増えるごとにメッセージへの文脈が増え、上限をより多く消費する。必要ないときは無効化してください」。接続しているだけで、ツール定義として毎回送られる。試しに入れたまま放置しているサーバーがないか、一度リストを開く。
足した理由。10選は「1回のメッセージを軽くする」手段でできている。 実際に上限を溶かすのは、その軽いメッセージを何十回も往復することのほう。 以下は公式のベストプラクティスから、往復回数そのものを減らす項目を拾った。
/compact で畳む公式は長いチャットで /compact を使い、早期のやり取りを要約版に置き換えることを勧めている。Codexは自動でも圧縮する。ただし圧縮はキャッシュの再利用プレフィックスをリセットするので、むやみに刻むと逆にキャッシュ割引を失う。詰まってきたら1回、が目安。
/fork公式の原則は「Keep one chat per coherent unit of work」。ただし同じ問題を追っている間は切らないほうが安い。推論履歴とキャッシュが効くので、切ると文脈の再構築で入力トークンを払い直すことになる。作業が本当に分岐したときだけ /fork する。
/plan で先に方針を固める実装に入る前に方針を確定させると、試行錯誤の往復が減る。高いモデルで長い試行錯誤をするより、計画1回+実装1回のほうが安く着く。手戻り1回のコストは、だいたい計画のコストより大きい。
公式は「Use subagents for tasks like exploration, tests, or triage」。狙いは、メインの会話に大量のファイル内容やテスト出力を流し込まないこと。読ませた分は以降の全メッセージに乗り続けるので、探索の副産物を本線から隔離できる。
ただし推論レベルのUltraは別物で、あれは並列に走った分だけ純増する。混同しない。
公式は「turn repeated work into skills」。毎回同じ長いプロンプトを打ち直すのをやめられる。効くのは入力トークンより、説明が足りずにやり直す回数のほう。安定した手順はスケジュール実行に回せば、対話のオーバーヘッドごと消える。
キャッシュ入力は通常入力の1/10。この割引はプロンプトの先頭が前回と完全一致している間だけ効く。壊す代表例は次の3つ。
※ この項目だけは公式ドキュメントではなく、Codex CLIのキャッシュ挙動を検証した外部記事に基づく。
上限はCodex単独ではない。公式によると Codex、ChatGPT Work、ChatGPT for Excel、ワークスペースエージェントは同じ利用枠とクレジットプールを共有する。Codexで節約しても、別の機能で使い切っていれば体感は変わらない。
# CLIのセッション中
/status
設定の使用状況パネル、またはusage dashboardでも確認できる。
「やったのに減らない」を避けるために、条件を先に置いておく。
96%は理論値。同じ入出力トークン数で比べたときの数字で、Lunaで何度もやり直せば実際の削減率は落ちる。判断が要る作業をLunaに投げるのは、節約ではなく遠回り。
クラウドチャットではモデルを変更できない。公式に「Currently, you can't change the default model for Codex cloud chats」と明記されている。1〜5はモデル選択ができる環境(デスクトップアプリ・CLI・IDE拡張)が前提。
月額料金は下がらない。減るのは利用上限の消費量と、追加クレジットの消費量。同じ月額で作業できる量が増える、という話。
2026年8月31日、GPT-5.4と5.4 miniが退役する。ChatGPTサインインでのCodex利用が対象。公式の置き換え案内は 5.4 → Terra、5.4 mini → Luna。保存済み設定・カスタムエージェント・スケジュール実行にモデル名を書いているなら書き換えが要る。APIキー利用は影響を受けない。
Advancedを開いて、いま自分が何のモデルで動いているかを見る。
Powerのままだったなら、それは gpt-5.6-sol のmedium推論。整形も要約も名前の変更も、全部そこで処理されている。定型作業を1つLunaに落とすだけで、その作業のクレジット消費は25分の1になる。プランを上げるかどうかは、そのあとで決めても遅くない。